多くのインタビュー自分史を手掛けてきたライフストーラー企画代表の山田風音(かずね)が、自分史の書き方やコツを、わかりやすくお伝えします!
第一回の今回は「自分の人生を振り返る大切さ」について。こんな方にお勧め!
- 自分史の書き方を知りたい方
- 自分史執筆のきっかけを欲しい方
- 自分史年表に興味がある方
- 自分史づくりに行き詰っている方
(今回の目次)
- 1.自分史づくり最初のステップ「自分の歩みを振り返る」
- 2.あなたの人生は新しい発見の宝庫!
- 3.基本は「自分史年表」を作ること
- 4.自分史年表づくりのコツ
- 5.こんな意外な方法も! これで楽しく自分史づくりをスタート!
- 6.今回のまとめ
1.自分史づくり最初のステップ
「自分の歩みを振り返る」
自分史を書くときに欠かせないのは「自分自身の歩みを振り返る」こと。誰でも「自分の人生のことは自分が一番よく知っている」と思いがちです。しかし、普段の忙しい生活の中で、自分の歩みをじっくり振り返り思い起こす時間って、実はあまりありません。
自分史の形や書き方に決まりはありません。写真集や俳句集、ブログなど様々な形があります。しかしどんな自分史を作るにしても欠かすことのできない大切な作業、それが「自分の歩みをじっくり振り返ること」です。
これは畑に種をまく前に、まず土を耕す作業です。「私たちの人生」という畑にくわを入れて掘り起こしてみましょう、自分でも知らなかった思わぬ宝が出てくるものです!
2.あなたの人生は新しい発見の宝庫!
「人生という畑を掘り起こす」のは、自分史づくりの一番のだいご味とも言えます。
私たちは過去の出来事を変えることはできません。しかし、私たちの価値観や視点は日々変化しています。
両親や自らの生い立ち、就職や結婚などの様々な決断や人間関係…。じっくりと時間をかけて思い起こせば、以前とは違う新しい景色が見えてきます。
2つのエピソードをご紹介いたします。1つ目は、ライフストーラー企画でインタビュー自分史を執筆させていただいた男性のお話です。
その方は若いころ、家族の反対を押し切りキリスト教の牧師になりました。お父様からは絶縁を言い渡されたそうです。
しかしその後もお父様は副業を紹介したり、経済的に支援をしたりしてくださったとのこと。それで私が次のようにコメントをしました。
お父様は絶縁と言われましたが、その裏ではいつもあなたを気にかけ、愛情深く見守っておられたのですね…。それを聞いてその方はハッと表情を変え、こうおっしゃいました。
私はこれまで、父の愛情についてあまり考えてきませんでした。でも思い返してみると、確かに父は陰から温かく見守ってくれていたのですね。ようやく実感できた気がします…。」
このように自らの人生について新しい気付きが得られる、これが自分史づくりの大きな意義の一つです。
2つ目のエピソードは私自身についてです。
私は社会人になってすぐ、人間関係で大きな失敗をしました。それを乗り越えるため、臨床心理士のもとでカウンセリングを受け、過去を語りなおし文章に書き綴ってきました。
当時は気付きませんでしたが、それはまさに「自分史」づくりの作業そのものでした。その傷が癒えるには長い時間がかかりました。しかし当時は痛く苦しい「失敗」としか思えなかった経験が、今の私にとっては豊かな学びの宝庫でありかけがえのない財産です。
その失敗があったからこそ、今の私がありライフストーラー企画があります。
過去を変えることは誰にもできません。しかし、過去の出来事をどう捉えるかは変わっていきます。「自分でよくわかっている」と思っている過去の出来事を、一つづつ思い巡らしてみてください。何をどんなふうにまとればよいか、あなたならではの自分史のカタチが見えてくるでしょう。
そうは言ってもじゃあ実際は何をすればいいの? ここからは具体的な方法についてお伝えしていきたいと思います。
3.基本は「自分史年表」を作ること
「自分史年表」とは、自分のこれまでの歩みを時系列でまとめたものです。おそらくたくさんの方は一度「自分史年表」を書いたことがあるはずです。実は「履歴書」、あれが「自分史年表」の一番シンプルなカタチなんです。
とイメージしていただければわかりやすいと思います。
自分史年表には履歴書のような定書式はありません。ここでは自分史年表づくりに役に立つツールをいくつかご紹介します。もちろんゼロから自分で作ることも可能ですが、その際にも参考になるかと思います。
<日刊葬儀新聞提供 エンディングノート>
http://recordasia.co.jp/funeral/free_endingnote.php
日刊葬儀新聞社さんが無料で公開しておられるます。マイクロソフトワード対応の「doc」形式や印刷しやすいPDF形式だけでなく、その他のオフィスソフトでも編集できる「odt」形式でも提供されています。
エンディングノートという名前ですが、特に15~26ページは自分史年表としても大変使いやすいものです。(130ページ近いエンディングノートですので、必要な部分だけ印刷して活用されるとよいと思います。)
一般的に、エンディングノートにはどんなものでも「自分史年表」のようなコーナーが必ずついてます。つまり自分史年表づくりは自分史執筆のためだけでなく、終活にも欠かせない作業なのです。
<一粒書房 回想式思い出ノート>
(この写真は現在発売されているものとはデザインが異なります)
https://omoide-print.net/jibunshi-omoide-note/
有料ではありますが、自分史を作るというハードルを大きく下げる画期的な試みです。開発者の一粒社都築会長は私も個人的に存じており、NPO法人日本自費出版ネットワークの理事を20年以上務めておられる方です。私自身も都築会長に学ぶところが多いのですが、このノートにも会長ならではの工夫がたくさんあります。
一番の特徴は別冊の「回想式思い出ノート」です。「年表」というと、どうしても初めから順に埋めようとしがちです。しかしこの「回想式思い出ノート」は、順序を気にせずに頭に浮かんだことをどんどん書き留めることができます。メモが溜まったらそれを並べたりまとめたりすることで自分史年表ができます。
ちなみにこのノートも介護や延命治療、葬儀に関しての意思表示などエンディングノート的な要素を含んでいます。終活にも役立てることができるものです。
<ライフストーラー企画 取材用覚え書き年表>
https://life-storier.com/sample/nenpyo.pdf
https://life-storier.com/sample/nenpyo-sample.pdf (記入例)
最後にライフストーラー企画が普段使っている自分史年表を紹介します。大きな特徴は二つです。一つは記入枠を大きくとっていること、そしてもう一つはその年の事件や社会の流行などを併記していることです。「自分がその時どこで何をしていたか?」など、思い起こすきっかけになります。
ライフストーラー企画ではインタビューに伺う前にお一人お一人の生年月日に合わせた覚え書き年表を送付し、記入していただいています。「空欄があっても大丈夫です、単語だけでも結構です」とお伝えするのですが、けっこう細かく記入してくださる方が多いです。取り組み始めると記憶がどんどん活性化され、思わぬうちに書き進めているとのこと。
ご住所と生年月日をご送付いただければ、あなたに合わせた覚え書き年表を無料で制作・送付いたします。是非お気軽にご連絡ください。
自分史年表のお申し込みはこちら!
4.自分史年表づくりのコツ
- 文章で書かなくても大丈夫! キーワード(単語)だけでも構いません。絵や記号もOKです。履歴書とは違い、自分のための自分史年表です。自由に作りましょう。
- 空欄があっても大丈夫! どうしても思い出せない、あるいは思い出したくない。そういう部分は空白にしておいても問題ありません。
- 手元にある資料を活用しよう! 一番役に立つのはおそらく写真アルバム。見ているだけでも記憶が活性化され、たくさんのエピソードを思い出すでしょう。
- 焦らずじっくり取り組もう! 自分の歩みを振り返ると、様々な記憶や感情が去来するでしょう。時には手を止め、思い出をじっくり味わってみてください。それこそが自分史づくりのだいご味であり、「人生という畑を耕す」作業です。
- ただし凝りすぎないで! 自分史年表はそれは自体が大切な記録になります。「ミニ自分史」と言っても過言ではありません。しかしあなたのゴールが「自分史執筆」なら、年表づくりに凝りすぎない方が賢明です。あくまで「下ごしらえの段階」と考えましょう。
5.こんな意外な方法も! これで楽しく自分史づくりをスタート!
ここまでは「自分の人生を振り返る」ための方法として自分史年表を書くことについてお伝えしました。でも実は、あなたの人生という畑を耕す方法は他にもあります! 例えば…
・誰かに思いでばなしを聞いてもらう。
自分一人では思い出せなかったことが、人との会話の中でよみがえってくること、ありますよね? 昔の同級生やご家族に自分のことを話してみると、思いもよらない記憶が呼び覚まされるかも。
あえて第三者と話してみるのもいいかもしれません。ライフストーラー企画も、第三者だからこそ聞き出せたエピソードがたくさんあります。
何より、そうやって人と一緒に過ごすのは楽しいですよね。自分史づくりは一人でしなければならないわけではありません。いろんな人を巻き込みながら楽しんで取り組みましょう。
・昔の記録を見返してみる。
日記や手帳などはそれだけで自分史として十分成立することがあります。家計簿も、今と当時の物価や習慣の違いなんかが分かって面白いですよ。
通知表で自分の成績を振り返るのはドキドキしますよね。それだけでなく、所見には担任の先生から見た子供時代のあなたが書かれています。自分を客観的に見るヒントになったりします。
昔の資料をしまい込んでいませんか? この機会に一度、引っ張り出してはいかがでしょうか? 「生前整理」という言葉もありますが、モノを整理する機会にもなるでしょう。
・「自分史の旅」へ出てみる。
昔住んでいた町や、旅行した場所へ実際に足を運んでみる。これも「あなたの歩みを振り返る」楽しい方法の一つです。
家でノートやパソコンと向き合うことだけが自分史づくりではありません。実際に足を動かし、景色を眺めたり名産品を食べたりと、五感をフル活用すると記憶が立体的になるでしょう。感覚に刺激されて思い出すエピソードも少なくないはずです。
新婚旅行や家族旅行の地へ、また昔の赴任地へ、「自分史」を言い訳にして旅行するのもいいかもしれません。
自分の歩みを振り返る方法は他にもたくさんあるでしょう。あなたならではの方法もあるはず。「自分史作りはこれからを楽しく過ごすためのツール」と考えてみてはいかがでしょう。
まとめ
ここでは自分史づくりにとって欠かせない手順として「自分自身の歩みを振り返る」ことの大切さをお伝えしました。またそのための方法として、「自分史年表づくり」を中心に様々な方法をお伝えしました。