3月にライフストーラー企画から「コーラとラーメンとビージーズ」という小冊子を出版しました。クリスチャン新聞記者の中田朗様が、統合失調症で50年入院されていたお兄様の洗礼と召天について書かれたものです。CGNTVの「本の旅」という番組でも取り上げていただき、多くの方に無料で頒布させていただいています。
先日、中田様に届いた現役クリスチャン精神科医、芳賀真理子先生のお手紙とメールのコピーをいただきました。ご本人の許可のもと、こちらに転載させていただきます。
心を揺さぶられる、素晴らしいドキュメント本をありがとうございました。
50年近く精神科病院に入院されていたお兄様に注がれた神様の愛に、しみじみ涙しつつ読んでいました。
私は研修医から開業する数年前までずっと精神科病院に勤務しており、その中でも思い出深い、山田病院と同じく調布市の青木病院という精神科病院で働いていた頃(2000年に入った頃)の情景も思い出していました。
私が研修医になった頃(1990年代前半)は長期療養大型の精神科入院病棟というのがまだ主体で、お兄さまのように10代で発症してからずっと、ある程度病状は落ち着いていても「社会的入院」という形での入院治療を継続している方を多く、受け持ってきていました。
1990年後半になると、このような社会的入院とされていた長期入院患者さん方を社会に戻そうとする流れが現実的な形となり、診療報酬改定などにより精神科入院は3ヶ月以内と言う方向になってきました。老朽化した精神科病院の改築(もしくは閉院)、国の精神科入院治療における方針の変更などがある中を、お兄さまやご両親は通ってこられ、対応してこられたのだろうなと思うと、改めてその足跡に感慨深いものを覚えます。
お兄さまの受洗の場面についても、「子供のように神の国を受け入れる」という聖句がそのまま、目の前に広がってくるようで、 21世紀のラザロというにふさわしいな……本当にしみじみいたしました。
で、 6ページのところの面会をめぐる問い掛けについて、お兄さまからの「来てもいいよ…」という返答はなんともほっこりします。こういうちょっと意外性のあるほのぼのしたやりとりが、そう言われてみれば病棟勤務時代にあったな~と思い出していました。
色々と、今は言葉でまとめるのが難しい様々な光景を重ね合わせながら読める豊かな本を世に出していただき、そういう意味でも感謝です。
神様のなさる事は、時にかなって美しい。
本当にそうですね。中田さんのご家族の救いについても神様に期待したいと思います。
それではまた。
中田さんとそのご家族が、神の御手の中に、そのご計画の中にあることを主に感謝します。
お元気で!
駒込えぜる診療所芳賀真理子引き続き以下のようなメールもいただきました。
精神科医療の変遷、ご家族の側からの思いということについても、本当に色々と感慨深いものがあります。
今となっては名前こそ思い出せないのですが、入院治療に対する精神科医療の変化が著しい時期に、戸惑うご家族から怒鳴られたこと、泣かれたことも今もよく思い出します。
お兄様のように、面会には親しか来ないという、何十年と社会的入院を続けている患者さんも見て来ました。
高齢となった親から、「自分たちがなくなった後は他の娘や息子たちに負担をかけたくないので、どうか病院で最後までよろしくお願いします」と言われることもありました。
私から上の世代の精神科医は、このような時代背景を伴った精神科医療の変遷をどう思っているのかな、とも振り返ります。
そういうのと同じところで思い出すのが、長期入院患者さんを連れ出してファミレスに行っていたな〜、みんなで合唱会に出たよな、一緒に祭りに参加したな〜とかの、実にのどかな風景です。
私は患者さんと一緒にあれこれ行動する方でしたので、患者さんと一緒にその方の自宅に行ったり、病院の外にあちこち出かけていたのでした。
今のスピード重視の精神科入院病棟では、なかなか難しい時間の流れなのではないかと思います。
色々と、積もる思いを拾い上げる機会をいただき感謝です。
それではまた。
一人の方のストーリーがこのように多くの方の心に届いていることを、編集・出版に携わった者として本当にうれしく思います。「つまらない人生などない」という確信のもとにライフストーラー企画を立ち上げましたが、この「コーラとラーメンとビージーズ」を通して少しでもそれを感じ取っていただければ幸いです。
このような機会を与えて下さり、お兄様のストーリーを弊社に任せていただいた中田様に改めて感謝いたします。
「コーラとラーメンとビージーズ」は中田様のご厚意により、無料頒布させていただいています(送料手数料のみご負担ください)。
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